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嗚呼、愛しきミャンマー、、。挑んだタイへの陸路国境越え。

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ミャンマーが大好きだ。

2泊3日のトレッキングに行って以来、僕の心はこの国にわしづかみにされた。

例えるなら、どうしようもない悪(ワル)が、読書が趣味のまじめで清楚なクラスメートに恋をしたような、、。そう、そんな感じだ。

くすんでいた心の中に、一輪の鮮やかな花が咲いたような、そんな春の気持ちだった僕は、酔っぱらってゆうきさんに、自分のヒストリーを語ってしまうほど春(スプリング)だった。

しかし僕らは旅人。どんなにこの国が好きになろうと、先へ進まなければならない。そう、日本にいる最愛の人(家族や友人)を待たせて、途中で浮気している場合ではない。

 

ミャンマーを後にする日が決まった僕らには、不安があった。

 

ミャンマーから陸路でタイに入る方法の情報が少ない。

 

なぜなら、ミャンマーとタイの陸路国境を外国人観光客が通れるようになったのは2013年の9月。そう、去年の9月。

それからまだ半年も経っていないため、ガイドブックやネット上はおろか、地元の人も正確な情報を知らない。もちろんまだ国境越えのツーリストバスのようなツーリスト向けの交通手段は整っていない。

国境にほど近いこの街「キンプン」でも信頼できる情報は得られなかった。

これまでに得られた情報は以下の2つ。

・とにかくパアンという街に行け。そこからミャンマー側の国境の街ミャワディまで行くバスが出ている。

・パアンからミャワディまでの峠道は、崖っぷちの細い道なため一方通行になっていて、ミャワディ側からとパアン側からで1日おきに変わる。

まず僕らはパアンへ行くため、バスを予約した。はずだった、、。

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AM9:00

翌朝、やってきたのはバスではなくソンテオ(トラック)。

途中で乗り換えるようなことを言っていたので、バスの所までこれで行くんだな。

縦に2つ並べられた固い木のベンチ椅子に座り、キンプンを出発。

 

1時間後。

ソンテオを乗り換える。道ばたで僕らを待っていたのは、バスではなくこれまた乗り合いソンテオ、、。

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しかもこのソンテオ、めちゃくちゃ運転が荒い。

そんなに広くていい道でもない道を、ぎゃんぎゃん飛ばす。

乗客を見つけると急ブレーキ。

時にはバウンドして、頭を屋根に打ちつけながらぎゃんぎゃん進む。

 

PM12:00

ぶっ飛ばし運転手のお陰で、予定より1時間も早く「パアン」に到着。

ここにきてようやく詳しい情報を得ることができた。

「今日はミャワディ(タイ)側からの通行の日だよ。」

なにー!!!くそう、、、ついてない、、、

明日になればここから国境までバスが出てるという。

「でもバイクだったらこっち側からも行けるよっ!その為にはここから2時間の所にある、「コーカレイ」という街まで行きな!」

街角で英語のしゃべれる親切なおっちゃんが、そう教えてくれた。

「バイクタクシーでバックパック背負って峠越え、、、。」

まったくいい響きに感じない。でかいバックパックを背中に背負った3人が、バイクタクシーのおっちゃんにしがみつき、反対側から来るトラックにクラクションを鳴らされながら、峠をぐいんぐいん走っているイメージは、想像でもあまりしたくない。

かといって、ここで一泊して明日を待つわけにもいかない。

なぜなら、僕らはミャンマーの通貨・チャットが残り少なかった。一泊したら手数料を払って小額を引き出さなきゃいけなくなる。

お金か、プライドか、、、。

 

プライドなんてくだらねぇものはいらねぇっ!

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ってことで乗り込んだ、この日3台目の乗り合いソンテオ!

まだあまり多くの旅人が、通ったことの無い未開の陸路国境越え。

正直な所、冒険的なこの展開にちょっとワクワクしていた。

バイクタクシーで今日中に国境を越えるため、コーカレイを目指す。

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しかしこのソンテオがおっっっっっっそい!

乗客を待っているのか、ただ休憩してるのか。ちょっと走ったらどかっと停まる。

30分以上停まっていることもあり、その間にお昼を済ませる。

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2時間で着くと言っていたのに、3時間経っても、4時間経っても着く気配がない、、、。

朝からずっと同じ体勢で座りっぱなしで、空気椅子をしていた方が楽なくらい、お尻も限界がきていた。

このままじゃ日が暮れちゃうよ、、、。

 

PM4:30

案の定、日が暮れた、、、。

結果4時間半かかって、ようやくコーカレイに着きいた。

早速、着いたその場にいたバイクタクシーに声をかけてみると、、、

 

「もう暗くなるから今からは無理。」

「もう暗くなるから今からは無理。」

「もう暗くなるから今からは無理。」

「もう暗くなるから今からは無理。」

「もう暗くなるから今からは無理。」

 

国境越え一日でならず!ここまできて、、無念、、、。

仕方なく近くのゲストハウスにチェックイン。

ここまで乗ってきたソンテオのおっちゃんが「今日は無理なんだから、明日このソンテオでミャワディまでいきなよ!4,500チャットね!(ちょっと高い)何時に迎えにくれば良い!?」

悪いけどおっちゃん、、。おっちゃんのソンテオがのんびりしてるからこんなことに、、、2時間で着くっていったのはおっちゃ、、、

いや、よそう。このおっちゃんは悪くない。ただいつも通り仕事をしていただけだ。一緒に乗っていたミャンマーの人達だって、誰一人文句も言わず涼しい顔してたじゃないか。道だって混んでたんだし仕方無い。

おっちゃんのソンテオの申し出は、丁寧にお断りした。

 

宿代と明日の交通費を差し引いたらあまり余裕は無い。

宿のおっちゃんに薦めてもらった食堂にいったが、予算オーバーだった。

「仕方ない。屋台のヌードルで我慢しよう。」

近くにあった一杯30円のヌードルを食べる。

もちろんこのヌードルも美味しい。ただ1杯じゃ満腹にならない。

そんな僕らを、ミャンマーは見捨ててはいなかった。

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「May I Help You?」

その声に後ろを振り返ると、さっき行った食堂で英語を話せた女の子が立っていた。

「何か困っていませんか?さっき食堂に来てたけど行ってしまったから、、、ミャンマー料理は嫌い?」

どうやら僕らの後を、急いで自転車に乗って追いかけてきたみたいだ。

「とんでもない!ミャンマーの料理は大好きだよ!ただ、、ちょっとお金がなくて、、、」

僕らがそう言うと、、

「それなら私の家に来ませんか?ミャンマー料理を作ってみなさんにごちそうします!」

僕らは顔を見合わせた。

正直いってめちゃくちゃ怪しい。家に行ったらなにかしらの方法でお金を巻き上げる、この手の詐欺は良くある手口だ。

しかしここはミャンマー。僕らはミャンマーを旅してきてなにを見てきたんだ。こんな女の子がそんな手口の詐欺をしてくるだなんて、そんなはずは無い。

彼女を信じて、彼女の家に行ってみることにした。

そして僕は、一瞬でも彼女を疑ってしまった自分を恥じた。

家にお邪魔すると、ちゃぶ台の上に用意されていた豪華な料理、、!

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彼女は天使だった。

この料理は全部、僕らへの料理だという。

どのおかずも本当に美味しかった。お腹がパンパンになるまで食べた。本当に本当に美味しかった。

食事の後も、彼女はミャンマーのことをいろいろ教えてくれた。

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家の奥から民族衣装や、新聞の切り抜き。家族で旅行に行った時の写真を僕らに見せてくれた。

そんな彼女の名前はMASUSU。この地で公務員として働いているという。

ご両親を亡くした彼女は、2人の姉弟を養っているといっていた。

翌朝も、朝早くから朝のマーケットを案内してくれた。

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この橋の向こうに、タイとの国境を結ぶ新しい道を造っているという。

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最後までミャンマーは僕のハートをわしづかみにして離さなかった。

彼女のしてくれた全ての善意が、この国の人々の温かさが、僕の胸を言葉にできない温かい気持ちにさせられる。

本当にありがとうMASUSU。

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MASUSUが手配してくれたバン(4,000チャット)に乗り、いよいよ峠を越える。

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最大積載量を完全にオーバーしたトラックが連なり、その間をバイクが通り抜けていく、大混雑した峠。

毎日積載オーバーした車が走ってるからだろう。アスファルトは穴ぼこだらけ。

山の斜面にジグザグに作られた道は、左側は崖っぷちでガードレールも無い。

途中、峠を登れなくなり立ち往生しているトラックなんかを横目に、クラクションの嵐の中峠を越える。

コーカレイを出発して3時間。

タイとの国境の街、ミャワディに到着!!

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やっと、やっとここまでたどり着いた、、、。

ミャンマーを出国するため、イミグレーションで手続きをしていると、職員のおっちゃんにこんな質問をされた。

 

「ミャンマーを旅行されて、何か改善した方がいい点はありますか?」

 

今後のために、なにか1つでもいいので聞かせてくださいという。

これは困った質問だった。

なぜなら答えは「今のままでいい」からだ。

軍事政権が崩壊し、外からたくさんのツーリストや企業がミャンマーに入ってきている。

4年前からヤンゴンに住んでいるマヤン曰く、ものすごい勢いでこの国は変わってきてるという。

観光客だけでも4年前の20倍は増えたと言っていた。

陸路での国境も開かれ、これからも観光客はますます増えるだろう。

そうなれば雇用も生まれ、この国はもっと豊かになっていく。

それは良いことだ。間違いなく良いことなのだが、僕らは恐れていた、、、。

旅の途中で出会ったミャンマー人が言っていた。

「これ以上ツーリストが増えてほしくない。ツーリストには悪い人もいるから。この国を変えないでほしい。タイのようにはなりたくない。」

その言葉に深くうなづいた。

外からの文化は、元々あった文化を薄らせていく。

トレッキングで出会った素朴な暮らしをするパオ族の人々は?MASUSUは?

素朴な生活を営む人々の生活や、心温かい純朴なミャンマーの人々の心まで変わってしまうんじゃないか。

ミャンマーを旅している最中から、数年後にはここも変わってしまうんじゃないかと、素晴らしい人々や光景に出会う度、そう口にしていた。

変わってほしいけど、変わらないでほしい。

いちツーリストとして矛盾した、身勝手な思いが駆け巡る。

 

ミャンマーを出国し、タイの国境まで橋を歩いて渡る。

橋の上で車線が右から左になる。

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後ろを振り返る。

「大好きなミャンマー。また来るその日まで、どうか人々の心は、文化は、今のまま変わらずにいてくれ!」

そう心の中で叫び、ミャンマーの旅は終わりを告げた。

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