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世界一危険な空港。最後の苦行!?ジープで15時間の悪路ドライブ Lukla〜Salleri〜Katmandu -エベレスト・トレッキング Part.7

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春真っ盛りのヒマラヤ山脈。

鮮やかな新緑の中、小鳥がさえずり吹き抜ける風が心地いい。

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つい3日前まで、何もかもが凍り付く標高5,000mの世界にいたのが嘘みたいだ。

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お世話になったToktokのロッジを出発したぼくらは、エベレストへの空の玄関口「Lukla(2,840m)」に到着した。

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エベレストのアタック隊も、僕らのようなトレッカーも90%以上の人が利用する、カトマンズとヒマラヤを結ぶ空の玄関口。

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エベレストに人類で初めて登頂した2人の名前が付けられたこの空港の名前は、その名も「テンジン・ヒラリー空港」

 

そんな標高2,800mにある空港の滑走路は、谷へ下るように作られてる、、、。

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って滑走路短くね!?

その長さはたったの460m…!

しかも山の谷間にあるうえに天候も変わりやすく、着陸は高い操縦技術が必要で「世界で一番過激な空港」なんて言われているらしい。

 

離陸はこの坂を利用して加速し、谷の手前ギリギリで飛び立って行く。

着陸は坂の斜面を利用して減速する。

いやいや、見てるだけでヒヤヒヤする、、、。

 

ちなみにこの写真を撮ってる後ろで、イッテQのイモトがロケをしてました。

 

エベレストアタックのシーズンが近いからか、ヘリコプターも引っ切りなしに飛んでくる。

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全てにおいてツーリスト価格とローカル価格がキッチリと別れているネパールでは、ここのセスナの料金ももちろん例外じゃない。

一番安いネパールエアラインでこんな感じ。

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ツーリストが$140(約14,300円)にたいし、ネパール人価格は6,081RS(約6,500円)と2倍以上も違う。

 

そんなセスナを使ってユミコは一足先にカトマンズへ帰ることに。

僕はギリギリまで悩んだ結果、やっぱり飛行機は使わずに帰ることにした!

もちろんお金を節約したいってのもあるけど、まだルクラに空港も、ジリに道すらも延びていなかった頃、エベレストへアタックする登山隊はたくさんの物資を担いでカトマンズから歩いていったという。

僕は登山家でもなんでも無いし、エベレストにアタックしたわけでもないけど、1ヶ月近くヒマラヤの中を歩き、エベレストのすぐ近くまで行ってきた。

ここまでやったなら、最後まで陸路で帰りたかった。

とはいっても、あまり長い日数ユミコを待たせるわけにはいかないし、バスの出ているジリまで行くと最低でも5〜6日は掛かってしまう。

ということで、ここから3日歩いたところにあるSalleriという村から、ジープでカトマンズに帰れるらしいのでその方法で帰ることにした。

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翌朝。

セスナで飛び立つユミコを見送り、3週間以上前に歩いた見覚えのある懐かしい道のりを一人歩いていく。

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辺りは行きに通った時よりもより一層春めいていて、たくさんの花々が鮮やかに咲き乱れ、行きとはまた違った雰囲気で足取りも軽快だった。

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トレッカーもほとんどいない。最高に気持ちのいい道のり。

 

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山肌一面の段々畑には作物が育ち、黄金色のたわわな麦がよそよそと風に揺れる。

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お久しぶりのロバもこの通り春使用!?

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途中ですれ違ったシェルパのおじさんに、Salleriまで通常3日かかるところを2日で行けると言われた。

「いやいや!それはシェルパの足ででしょ!?」

そう思いつつも、体が軽く、なかなかいいペースで歩けていたし、あまりユミコを待たせたくなかったのでその言葉を信じてみることにした。

ということは、今日の目的地Buksa(2,320m)よりも先のNunthala(2,194m)へ今日中に行かなければ、2日でSalleriまで辿り着けない。

その時はすでに、暗くなる前に辿り着くにはギリギリの時間だったので、さらにペースをあげる。

 

そんな矢先、行きにお世話になったBuksa(2,320m)という村のロッジに寄ると、どこか見覚えのある顔が、、、。

 

中にいたシェルパのポーターが、彼は日本の有名人だよ。と教えてくれて確信。

恐る恐る声をかけるとやっぱり!

福島を勇気づける為に、エベレストへ挑戦する道中の「なすび」にバッタリ遭遇!

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お茶を飲みながら小一時間話しをさせて頂き、福島を想う姿勢とこのチャレンジにたいする信念に一発でファンになりました。

なすびさんのこのチャレンジは、前回のも含めて知っていたけどまさかこんなところで会えるとは。

なんせ空港のあるLuklaから下は、普通のトレッカーですらほとんどいないのに、エベレストに登る人でジープでSalleriまでやってきて、そこから歩いている人なんて、世界中で彼だけじゃないか!?

しかも、帰りも飛行機を使わずに歩いてSalleriまで帰る徹底ぶり。(前回は悪天候でジープがこず、ジリまで歩いて帰ったそう。)

「登山未経験のなすびでも世界一のエベレストに登れることを証明して、どんな困難も必ず乗り越えられると勇気を与えたい。」

というこのチャレンジの信念に忠実に、飛行機を使わず足を使って登っていく姿勢が、なすびさんのチャレンジらしいという理由でそうされてるそう。

去年の1度目の挑戦は、頂上100m手前までいって悪天候のため断念。

今回はアタック直前に雪崩事故のために断念せざる終えなかったこのチャレンジ。

それでもこのなすびさんの挑戦は、多くの人に勇気をあたえたんじゃないかな。

また来年、再々チャレンジするとしても応援します。

なすびの福島パワーアップ的エベレスト登頂計画「エベチャレ」

 

そんな思わぬ出会いがあり、気付けば日が傾きかけていた。

この日の目的地Nunthala(2,194m)までは、ここから4時間はかかる予想。

日没までに辿り着けるかギリギリのところだった。

ほとんど走るように谷まで駆け下りると、そこからTakisindu (3,071m)への険しい登りの始まり。Nunthalaはちょうどその中腹地点だ。

ここまでハイペースで飛ばしすぎたため、ペースががくっと落ちた。

登っても登っても村は見えて来ず、辺りはどんどん薄暗くなっていく。

焦る気持ちと裏腹に、踏み出す足の一歩一歩が重い。

肩に食い込むバックパックがいつも以上に重く感じる。

ストックを持った手を前に出すのも一苦労。

 

「ここまで来て初の野宿か!?」

 

フラフラになって諦めそうになりつつも、最後の2時間は気力だけで登り、なんとか完全に日が落ちる前にNunthalaへ辿り着けた。

 

ロッジにバックパックをおろし、トレッキング中ずっと我慢していたビールに手を伸ばし、、、

プシュッ!

足の指の先までジ〜ンと染み渡る1ヶ月ぶりのビール。

あぁ…なんとか辿り着けた…。

そんな僕の様子を見ていた、ガイドとしてベースキャンプまで行ってきた帰りだと言うシェルパのおっちゃん達と、そのまま宴が始まり、ベロベロになってその日は死んだように眠った。

 

翌朝。

朝一からTakisindu(3,071m)までの877mの高低差を2時間で登りきり、Salleriまでの緩やかな道を歩いていると、昨晩ロッジで宴をしたシェルパのおっちゃんがジープをつかまえて待っていてくれた。

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Salleriまで残り数キロ。歩いたら1時間ほどの距離。

最後まで歩きたかった気持ちもあったけど、おっちゃんの善意に感謝してジープに乗り込んだ。

ジープが通れると行っても、ここはまだ山深いヒマラヤ山脈の中。

歩荷やロバ達も歩く道を、クラクションを鳴らしながらゴットゴットと進んでいく。

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そして、カトマンズへのジープの発着地点、Salleriの村に到着。

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カトマンズ行きのジープの値段は通常2,500RS(約2,500円)。

僕はトレッキング中に出会ったシェルパのおじさんに、ジープ屋のビジネスカードをもらっていて、その人がジープ屋兼ロッジの叔父だったらしく、渋々2,000RSにしてくれた。

 

翌朝AM3:30

まだ真っ暗な中、同じジープでカトマンズへ向かう人達がぞろぞろとロッジに集まってきた。

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7人乗りのTATA社(インドの車会社)製のジープに、生後6ヶ月の赤ちゃんとドライバーを含めた11人を詰め込み、まだ真っ暗の村を出発した。

カトマンズまでの予想時間は15時間!

長い長いドライブの始まり。

 

ジープが進む道は、山肌や川沿いに伸びるオフロード。

もちろん車一台がギリギリに通れる幅の悪路だ。

ちなみに僕はフロントの席で、右は運転手、左はネパール人の男性と密着し、股の間にはシフトレバーがある状態。

ドライバーがシフトチェンジするたびに股に気を使う。

 

道中、何度もダンプカーとすれ違ったりショベルが作業をしていた。

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どうやら数年以内に、空の玄関口Luklaまで道を延ばすらしい!

気の遠くなるような果てしない作業。

Luklaまでの道が完成すれば、山の人々の生活はもっと楽になるんだろう。

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ネパールの歌謡曲を爆音で流しながら、文字通り山を越え川を越えひたすらにジープは進んでいく。

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途中、見晴らしの良い高原の山肌を進んでいると、数百メートル先に砂煙が立っていた。

砂煙の先を見ると、山肌を滑り落ちていく白いジープが!!

それまでほとんど会話の無かったとなりのネパーリーと目を見合わせる!

300mほど滑り落ちたそのジープは、運良く木に引っかかって止まった。

隣にいるドライバーに「ちょっと!あれ大丈夫!?」と聞くと、、、。

「、、、コクリ。」

ゆっくりとうなずくだけ!?助けにいかないの!?

そのまま何も無かったかのように、木に引っかかって止まっているジープを眼下に通り過ぎていく僕らのジープ。

えー!?なんでなんで!?こんなこと日常茶飯事だからなのか!?

確かに怪我はなさそうだったけど、この状況が理解できずしばらく混乱した、、、。

 

そんな恐怖の光景を目の当たりにしつつも、僕らのジープは快調に進んでいく。

Salleriの村を出発してから9時間が経った頃、短い豪雨が振り、ぬかるんだ道でバスが立ち往生してしまい大渋滞。

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「これがネパーリースタイルだよ!ははは!」

そう言って笑う同じジープの乗客のおっちゃん。

待っている間も、無理して進もうとするバスが乗用車にぶつかったりと大騒ぎ。

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1時間の足止めを食らってようやく走り出したジープは、トウモロコシ畑の中に赤茶色い土壁の家が建つ、小さな村々を走り抜ける。

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途中、タイヤがパンクしても馴れた手つきでちゃちゃっと交換する頼もしい我らのドライバー。

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出発して10時間が経つころになると、さすがにお尻が痛くなってきた。

これまで散々ウトウトしたせいで、まったく眠くない。

ネパーリーと密着して、ただただ目の前の景色をボケーっと眺める。

残り5時間。退屈過ぎて1時間が死ぬほど長い。

しかもやたらとお茶休憩が多い。

その度に「これがネパーリースタイルだよ!」と笑ういつものおっちゃん。

渋滞にパンクにお茶休憩。予定通り残り5時間で着くのかも疑わしい。

だけど、そんな同乗者のおっちゃんがチャイをおごってくれたり、別の兄ちゃんがチャパティをごちそうしてくれたり、みんなに親切にされながら、早くカトマンズに着きたい焦る気持ちを抑え、ネパーリースタイルに身を任せてみた。

 

日が沈み辺りが暗くなる頃、急に道が賑やかになった。

一人、また一人と乗客を降ろし、PM8:30 カトマンズに到着!

なんだかんだたった1時間遅れの到着だった。ドライバー恐るべし。

降ろされた場所はカトマンズ市内でも、ここがどこか分からない。

そんなこっちの状況を「分かってるから俺に任せな!」と言わんばかりに、同乗者のおっちゃんがバイクで安宿街のタメルまで送ってくれた。

今日一日のネパーリー達の親切に感動しながらタメルに着くと、溢れんばかりの人でごった返すストリート!!

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いつも9時頃には人気が少なくなるはずなのに、なんじゃこりゃ!?

そーいやジープのおっちゃん達が言ってたか!

今日はネパール歴2071年の正月だって!

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お洒落して浮かれる若いネパール人たちと、それに便乗して騒ぐ欧米人達の間を、日焼けした顔でバックパックを背負って歩く、超山帰りの僕(笑)

今までいた山の中の、空気がきれいで静かなあの環境を、吹っ飛ばすかのような大喧噪。

こうして、トレッキングの余韻に浸る暇もないまま、合計28日間のエベレスト・トレッキングは無事終わりを告げた。

 

今回のルート

Toktok(2,610m) — Lukla(2,840m)

Lukla(2,840m)— Bupsa(2,320m) — Nunthala(2,194m)

Nunthala(2,194m)— Takisindu(3,071m) — Salleri(2,390m)

Salleri(2,390m) — Kathmandu (1,300m)

 

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この記事に書いてある地名や標高は、現地でトレッキング地図を元にしています。

 

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